佐藤農場 佐藤 祥子さん&宮本 政明さんのあゆみ
佐藤柑橘園設立
昭和43年、祥子さんのお父さんが佐藤柑橘園を始めます。当初は慣行栽培でした。
全園有機栽培に切り替える。
農薬の影響を体に感じ、いち早く減農薬栽培に転換。柑橘園の設立から20年後、全園を有機栽培に切り替えました。
talk1
つよく育った果実たち
有機栽培でつよく育った果実を活かして、ジュース、ジャム、ドライフルーツと加工品を展開していきます。
talk2
父がやってきたことを守りたい。
女性ならではの視点を活かし、有機生レモン石鹸が誕生
「レモンの食べるだけではない新たな魅力を引き出したい」との思いで開発されました。
talk3
佐藤農場のこれから
一丸となって、地域の風景を守っていく。
talk1
つよく育った果実たち
生産部門の責任者である政明さんは熊本出身。佐賀大学農学部へ入学し、その後、そのまま佐賀で就職しますが、「ものづくりがしたい、何か創りあげたい」と考え佐藤農場で働くことになりました。
栽培については、祥子さんのお父さんから教わったり、ほかの有機農家との交流の中で情報交換をしながら、ノウハウを蓄積していったそうです。品種についてもその交流の中で助言を得て、少しずつ栽培品種が増えていったのだとか。
その後、2011年に佐藤農場株式会社として法人化を行い、自社の加工場を新設。翌年には国の総合化事業計画の認定を受け、6次産業化を推進してきました。
「佐藤農場の加工品は、まずはみかんジュースから始まりました。はじめは県外の加工工場に製造を依頼していたんです。でも、その工場が有機JAS認証ではなかったので、材料は有機JAS認証なのにジュースにしたらその認証がなくなってしまうということになって、“それはもったいないな”と思ったんですよね。なので、自社の加工場を新設して、自社製造に切り替えることになりました。有機JAS認証のジュース工場は全国でも数が少ないんですよ。」
その後、ジャムやドライフルーツが次々と誕生。加工品のアイデアや名前は、スタッフさんたちの中から自然と生まれてきたと政明さんは言います。
「加工作業はスタッフみんなで手分けして行っています。加工専門のスタッフは1人いますが、その人も忙しい時期によっては生産、出荷作業をしてもらうこともあります。自社のジュース製造だけでなく、九州の農家の方から小ロットの依頼を受けることもあるし、近所の方からコンテナ3つ分のみかんを預かって自家用でジュースをつくることもあるんです。同じ農家だから、もったいないって気持ちは分かりますからね。」
会社のみんなが生産工程に触れている。ひとつひとつの果実にどれだけの手がかけられていて、どれだけの想いが込められているか、実感として分かる。だからこそ、つよく育ってくれた果実たちを活かし、届けたいという想いが会社全体に染み渡っているようです。
talk2
父がやってきたことを守りたい。
祥子さんが実家に戻り就農したのは10年ほど前のこと。「元々実家を継ぐことはあまり考えておらず、農業とは関係ない会社に就職し働いていました。10年ほど前、父から継いでほしいと言われたことをきっかけに、実家に戻ることを決め、令和2年に経営移譲されました。」
祥子さんが入社した翌年、みかんの有機栽培での管理圃場面積が日本一となります。順調に栽培面積と出荷量を増やしてきましたが、有機栽培ゆえに栽培時の作業量が多くなり、どうしても顧客管理の効率化や販売戦略の設計などが後回しでさまざまな課題を抱えていました。そんなとき、さが農村ビジネスサポートセンターからの打診で国の6次産業化中央サポートセンターの支援を受けることが決まり、社内の課題を洗い出して改善していくことになりました。
取り組みの1つはECサイトの改善です。全国の自然食品店などからの引き合いが多くあり、早くからネット販売を始めていたものの動きは鈍く経費がかさんでいる状況。そこで、サイトリニューアルの上、SEO対策をして流入を増やすほか、お客さまとも細やかなコミュニケーションをとることで安定して売れるようになってきました。現在では、商品を更新するとあっという間に売れてしまうということがしばしば起きるほどです。
また、加工品のリブランディングも行いました。当時数種類の加工品があり、ラベルもバラバラでしたが『鹿島みかん村』ブランドのラベルに統一し価格を見直すことに。価格改定については、お客さまが離れてしまう不安もあったといいますが、支援に係る専門家からの助言を信じて実施。結果としては、加工品の利益率が向上し、出荷数自体も増加したそう。
祥子さんは支援を振り返りこのように話します。
「今回支援を受けて良かったのは会社の見える化ができたことです。そして、経営理念を作れたことが大きな成果だったと認識しています。」
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佐藤農場のこれから一丸となって、地域の風景を守っていく。
「どの業界でも働き手が足りていないとは思いますが、農業界も顕著です。なので、スマート農業も少しずつ導入して生産の効率化を進めていく必要があると思います。さらに、耕作放棄地も増えているので、それを上手く活用して栽培面積も拡大していきたいです。そして、地域の雇用を増やしていきたいですね。」
経営理念ができた佐藤農場。これから先、どんな未来を目指していくかが明確になりました。
祥子さんのお父さんが始めて、手探りしながら地域のみんなと積み重ねてきたから今がある。これからもそれを守っていけるように、自然にやさしく、人にやさしくあり続ける。佐藤農場はまさに共生を体現している。祥子さんはやさしく、つよい眼差しで未来を見据えています。
支援機関・体制
エグゼクティブプランナー / 利益向上と経営体質の強化支援
農山漁村発イノベーション中央サポートセンター / 経営全般に係る支援
鹿島市役所 / 補助事業紹介・ふるさと納税の支援
佐賀県産業イノベーションセンター / 各専門支援(さが農村ビジネスサポートセンター)