香月農園 香月 涼子さんのあゆみ
夫婦2人で農家の道へ。
脱サラした夫とともに、専業主婦から苺農家の道を歩み始めます。農家になってから生まれた子どもたちは、小さいころからハウスへ。農作業も家族みんなで過ごす時間です。
talk1
友と、ともに。
「規格外の苺をいかせないか?」と朝から農作業、夕方から商品開発し、合間で家事もこなす日々。近所のママ友からのヘルプにより、構想3年、ドライいちごが完成します。
加工所を開設。
農繁期だけでなく通年働いてもらえるように地元のママ友を雇用します。OEMも含め、続々と商品を開発。
商談会に参加し、販路を拡大。
talk2
地域にひろがる母の愛
地域の子どもたちの思い出となる商品開発。
株式会社香月農園設立。
人気商品のいちごスイーツシリーズが誕生。
加工品の集大成、自慢のジャムが完成する。
talk3
立ち止まり、振り返る道のり。
香月農園のあゆみを振り返り、リーフレットを作成。
talk4
香月農園のこれから
お客さんの近くへ。
talk1
友と、ともに。
苺農家になって8年ほどたった頃、涼子さんは「規格外の苺をうまく活用することができないかな?」と考えるようになりました。苺は冬から春にかけて収穫しますが、親苗の定植や植え付ける苗の栽培、それをハウスに移して定植、栽培するため、実は1年中お世話が必要です。「1年間愛情こめて、手をかけて育てた苺なのに、価値がつかないのはもったいない!」と感じたことがきっかけでした。
これを機に商品開発への道を歩み始めます。はじめての商品開発は本当に何もかもが手探りで、試行錯誤の日々が続きます。朝から農作業、夕方からは商品開発、合間でしっかり家事もこなし、夜遅くまで作業することもしばしば。
「私の忙しそうな様子を見かねて、地元のママ友が手伝うよと声をかけてくれたんです。このときは本当に精神的に支えてもらってありがたかった。そんな助けもあって、構想から3年くらいで、初商品の『ドライいちご』ができました。」
それから複数の商品が誕生すると、涼子さんは加工所の開設に踏み切ります。「これまでは苺の栽培や収穫が忙しい時期だけお仕事をお願いしていましたが、通年働いてもらえるようにしたいと考えて。加工所で働いてくれているスタッフは、地元のママ友たち。主婦経験を活かして、レシピ開発に製造に活躍してくれています。本当に頼りになるのよね。」
以降、出来上がった商品をしっかり届けるべく、商談会や展示会などの場に積極的に参加していきました。そこで出会う人たちと話すことで、どんどん商品のアイデアが出てきたそうです。すると、実際に形にしたくなって、加工所のスタッフにそれを相談。試作をしてもらう、そして商品ができるという好循環が生まれていきました。
talk2
地域にひろがる母の愛
「あるとき、“お茶に合うお菓子をつくってもらえませんか?”という依頼がきました。子どもたちにお茶の入れ方を教える取り組みをしている団体があって、せっかくなら地元の食材を使ったお菓子でお茶会がしたいと言ってくれたの。このときもスタッフが中心になって、たくさん試作を重ねてお菓子開発をしてくれました。地域で育てた食材を、地域の人が加工して、地域の子どもたちに食べてもらう。みんなの思いがつながって、未来を作ってるように思えて、とても嬉しかったな。」
苺の栽培、商品開発、販路開拓、地域貢献と全力で取り組んできた涼子さん。ついに生産部会を抜けて、自社販売に切り替えます。そして2018年、株式会社香月農園を設立しました。
talk3
立ち止まり、振り返る道のり。
「加工品が増えてきたけど、リーフレットに載せきれてないものもあったの。だからはじめは商品の一覧が載ったリーフレットをつくりたいという内容で、さが農村ビジネスサポートセンターに相談をしたかな。一方でこれまで商品開発と販路開拓を頑張ってきたけど、一度立ち止まりたいという感覚があった時期でもあって。初心に戻って、もう一度苺やお客さんに向き合いたいって気持ちがあった。派遣されたプランナーにそこも含めて話をしたら、商品紹介のためではなく自社ファンを増やすためのリーフレットを作ろうということになりました。」
その際、自社の印刷物やリーフレットを改めて見返したところ、商品自体の魅力を伝える情報が多く、香月農園の情報はほんのわずかしかないことが分かりました。香月農園では、どんな人がどんな思いで苺をつくり、加工品を届けているかがお客さまからは分かりにくい状態。商品自体にファンがいるのも嬉しいけれど、今後は香月農園にファンがいる状態にしたいという想いもあったそう。
そして、それができるのはこれまで苺とともに歩み、生産と加工・販売、どちらのことも分かる涼子さん本人だけでした。
「リーフレットの作成にあたって、就農以来のあゆみを振り返るヒアリングをしてもらって、一緒に年表を作る作業をしました。改めて振り返る機会はなかなかないから、今思えば頭と心が整理されたかな。」
そして、香月農園のこれまでを振り返る内容のリーフレットが完成。お客さまにも楽しんでほしいという思いを込めて、折り紙の遊び心を加えました。SNSとも連動しながらファンづくりのツールとして使用しています。良い商品を届けて、想いを伝えるためには時代に合わせてさまざまな方法を上手く使っていく必要があります。
talk4
香月農園のこれからお客さんの近くへ。
今後、より積極的に「お客さんと直接会って、お話しして商品を手渡すことができるような売り方に力を入れていきたい」と考えていて、移動販売にも関心があるといいます。
そして、数年後に息子さんが実家に戻り就農する予定もあるそうです。
商品のこと、お客さまのこと、未来のことを楽しく話す姿が印象的な涼子さん。これから香月農園が歩んでいく道のりにはたくさんの笑顔がありそうです。
支援機関・体制
農業大学校 / 加工技術等
神埼市役所・三神農業振興センター / 補助事業紹介・生産技術支援等
佐賀県産業イノベーションセンター / 各専門支援(さが農村ビジネスサポートセンター・知財支援課・よろず支援拠点)